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口腔ケア

口腔ケアは歯磨きなどで口の中を衛生的に保つことというイメージがありますが、話をしたり飲食をするための機能を維持・回復させるケアも含まれています。

特に介護が必要な方の口腔ケアは、「誤嚥性肺炎」「口腔の乾燥」「口腔機能の低下」の予防を重視しています。

口腔ケアの目的

口腔ケアの目的は、むし歯や歯周病の予防、口臭の予防、味覚の改善、唾液分泌の促進、誤嚥性肺炎の予防、会話などのコミュニケーションの改善、生活のリズムをととのえる、口腔機能の維持・回復と幅広い内容があります。利用者のQOLを支える大事なケアです。

口腔ケアを始める前に

口腔ケアで介助が必要な際も、本人ができることはなるべく自分で行ってもらいます。また水や唾液などを誤嚥することのないよう、姿勢に気をつけて行います。

口の中は非常にデリケートな場所。他人に口の中を見られたり歯を磨いてもらうことに抵抗も持つ人も多いでしょう。また、ケアの途中で痛みを感じると、以後のケアを受け入れがたく感じてしまいます。声かけをするなど緊張をほぐし、無理強いすることなく、口腔ケアが心地いいものと体感してもらえるように取り組みましょう。

口腔ケアのための道具

本人の負担を軽減するには、短時間で効率よく行うことがポイントです。歯ブラシのほか、下記のような便利なケア用品もあるので活用しましょう。

  • 歯間ブラシ、スポンジブラシ、球状ブラシ、舌ブラシ、義歯用歯ブラシ、給水・吸引機能付き歯ブラシ、自助ブラシなど
ポイント
握力が弱った方には柄が太めの歯ブラシが使いやすい。液体歯みがきは、水ですすぐ必要がないものや軽いすすぎで十分なものがあり便利。歯みがきが難しい時などに活用を。

口腔清掃の手順

①準備…歯ブラシ・歯磨き粉等、コップ、タオル、使い捨てタオルなど、スムーズに口腔清掃が行えるよう準備する。声かけをしながら、本人の体調確認も合わせて行う。

②うがい…うがいができる場合は、ぶくぶくうがいをしてもらう。うがいができない場合は、水で湿らせたガーゼを指に巻き付けるかスポンジブラシで口の中をぬぐう。

 

③入れ歯の清掃…入れ歯を外す。部分入れ歯などで小さな入れ歯の場合は、口の中に落とし込まないよう両手で注意深く外す。総入れ歯は下の入れ歯から外す。落下による破損を防ぐため、水を張った洗面器の上で流水下で歯ブラシで磨く。歯の付け根、入れ歯の縁や裏側、バネの部分は汚れやすいので注意して磨く。水や洗浄液に浸して保管する。

④粘膜の清掃…頬・唇と歯ぐきの間、上あご、頬の内側、口の奥などの粘膜はスポンジブラシや球形ブラシを用いる。ブラシを軽く押し当て、奥から手前の方向に動かし、口の中の汚れや痰を絡め取る。麻痺側の頬の内側は特に丁寧に行う。粘膜は傷つきやすいので注意を。ブラシはまめにゆすぐ。

⑤歯の清掃…歯ブラシの毛先を磨こうとする歯の面に直角にあてて、軽い力で磨く。磨くときは軽い力で小刻みに動かす。力の入れすぎに注意。歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯のかみ合わせ、でこぼこしているところ、背の低い歯などは歯垢が溜まりやすい場所なので、丁寧に磨く。

⑥舌の清掃…舌に舌苔がついている場合は、舌ブラシや軟らかい歯ブラシで奥から前側にやさしくこすり取る。舌苔が分厚くなると口臭の原因になる。

⑦歯ブラシストレッチ…歯ブラシの背の部分で頬の内側を外に押し広げながら上下に3回程度動かす。

⑧うがい…うがいができる場合は、ぶくぶくうがいをしてもらう。

⑨入れ歯の装着…正しい位置に装着する。部分入れ歯はバネがしっかり装着できているか確認する。総入れ歯は上の入れ歯から下の入れ歯の順で行う。

 

⑩口の周りを拭き、口腔内を確認し、清掃を終えたことを伝える。

ポイント
■食後はカテキンを含む緑茶を口にふくんでもらうといい。
■毎食後の歯みがきが難しいときでも、うがいは必ず行うようにする。
■麻痺のある方は、麻痺側の汚れが取れにくいことが多いので、磨いた後はチェックをする。

口腔機能の低下を予防するために

口の周りの筋肉を動かす体操を行うと、舌の動きや唾液の分泌が促されます。食事前に取り入れてみましょう。

参照/厚生労働省e-ヘルスネット、障害者歯科保健医療対策マニュアル ~障がい者のための8020生活実践プログラム・7要介護高齢者編〜「要介護者高齢者のための口腔ケアマニュアル」(東京都保健所編集)